先週人生において非常にショックな出来事があった。
末期がん宣告よりも全然軽いことなんだけど、「フィンランド在留資格の延長申請が却下される」との情報が来た。
つまり、フィンランドに住み続けることができなくなる。
つまり、フィンランドで多額な金銭と莫大な時間をかけてきたビジネスを諦めないといけない。
つまり、フィンランドで築いてきた人間関係もいったん手放すことになる。
つまり、今まで考えてきた人生計画をいったん全部ゼロに戻さないといけない。
つまり、敗北感に好きな分だけ存分に浸かりながらフィンランドを出なければいけない。
事情を最初から具体的に言うと、私は去年(2020年)の11月にフィンランドの「自営業ビザ」(Self-employed residential permit)の延長申請を提出した。
その審査がすごく時間かかり、今年の9月頭に追加書類の要請が来て、対応した。
これでビザの延長は問題ないだろうと思いきや、10月頭の先週に再度追加書類請求が来た。
ファイルを開いてみると、「REJOINDER to recommendation of deportation」というタイトルの書類があった。
え!?なにこれ!?DEPORTATION!!
その意味は「強制出国命令に対する声明」です。
「え。。。。!」
パニック!
どういうこと!?
すかさずネットでこの書類の意味を検索。
もちろん、いい意味の情報は出てきませんでした。
結論を言うと、これは「あなたに対してビザ更新申請の却下と強制出国の命令をもうすぐ出すが、何か一言ないか?」ということの書類です。
提出の締め切りは2週間後。
半信半疑且つショックを受けた状態の私は、自分の知っている知識と情報の範囲で対策を取り始めました。
1.まずはすぐに仕事を探し、仕事を見つけて在留資格(ビザ)の種類変更を行う。
2.専門の弁護士を見つけたので、数日後のアポを取得する。
後日、専門弁護士との話を済まし、状況の全体を把握できるようになった。
下記のような状況です。
そもそも自営業ビザの更新には「十分な収益性」が第一に求められます。
ただし、私は観光旅行業を営んでおり、コロナ流行の2020~2021年には明らかに売り上げが非常に少なかったです。
しかし、コロナが来る前の2018~2019年のビジネスは非常に状態がよかったです。
この状況を踏まえ、「2020~2021年はコロナの影響で収益が悪かったが、2018~2019は非常に良かったので、2022年には非常に高いポテンシャルがある。そのため、ビザの延長をお願いします」という内容の書類を作成し、移民局に提出した。
これで理解してもらえると思ったが、そういうわけではなかったです。
専門弁護士の話によると、移民局はコロナとかの影響を全く考慮しない。見るのは数字の一点のみ。
数字しか見ないなら、もちろん、私のビジネスではフィンランドに住み続ける理由がない。
「こんなの理不尽じゃん!」ととても強く思っているが、「これがフィンランドの現実だ」と弁護士に突き付けられた。
そこで弁護士からの対策提案は2つ。
1.とにかくすぐに仕事を探す。フルタイムの1年以上の雇用契約(できれば終身雇用契約)を入手すれば、ビザ目的変更でフィンランドに住み続けることができる。
2.どうしても仕事見つけないなら、博士課程の入学も選択肢。
時間軸として、できれば10日間内にフルタイムの終身雇用契約を入手し、移民局に雇用目的でビザ申請の種類変更を行う。
間に合わないなら、移民局に返信の締め切りを10日間伸ばすようにお願いする。
それでも間に合わないなら、行政裁判所に請願を出し、約5ヶ月ほどの時間を稼ぎ、求職や博士入学を進める。
これで、とにかく「最短期間内にフルタイムの終身雇用」を求め、私は仕事を探し始めた。ひたすら。
このご時世で、終身雇用だけでも難しいのに、20日内に採用確定まで漕ぎつけるイメージさえできない。
しかも、これ以上に難しいことがまたある。
なぜなら、
1.私はフィンランド語ができない
2.私は東洋人である
3.私は様々な分野をやってきたジェネラリスト
4.私の自営業ビザではフルタイムで雇用されることが許されない
私のキャリアとして、専門と言えるのは、「医療機器のプロダクトマネジャー」「マーケティング」「起業」「ウェブ」「観光旅行」「英語、日本語、中国語」くらいだ。
プロダクトマネジャーやマーケティング関連の仕事の多くはフィンランド国内向けなので、フィンランド語ができない且つ東洋人の顔を持つ私だと難しい。
プロダクトマネジャーとマーケティングの中で、海外向けの仕事もある。
ヨーロッパの他の国向けの仕事がある。しかし、ドイツ語、フランス語など現地言語ができない且つ東洋人の顔を持つ私だと同じく難しい。
じゃ、グルーバル向けのプロダクトマネジャーやマーケティング職しかないと思ったら、グローバル向けの場合はシニア職が多く、10年以上の経験を求められることが多く、広く浅くやってきた私だと非常に不利。
これで、自分が専門としてやっていたプロダクトマネジャーやマーケティング関連の仕事をいくら応募しても面接の誘いが来ない。
となると、プロダクトマネジャーやマーケティング関連の仕事の中で一番可能性が高いのは、日本、中国、台湾向けの仕事になる。
ただ、これらの仕事がほとんどフィンランドにない。
規模のある会社はすでに現地にスタッフを雇っているし、規模のない会社はまずヨーロッパ市場から始まるから。
たまたま「今から東アジア市場に進出したい」という会社がないと、そういう仕事がない。
そのため、フィンランドで勤務しながら、東アジアに対してマーケティングやセールスをする仕事は全体で見てたぶん千件の求人の中で2件くらいしかない。このご時世とこのタイミングも関係するが。
もちろん、私の場合は選びようがない。
ちょっとでも自分の学歴や職歴に関連性ある求人にはすべて応募するのだ。
カバーレターを一軒ずつ書いてね。
経験があまりなくても応募できる、寿司シェフでも、包装員、ウェーターでも、コンクリート舗装でもなんでも応募する。
しかし、問題はこれだけではなかった。
私が持っている在留資格は「自営業」。
フィンランドの自営業ビザが許可している労働は「自分の会社で働く」ことです。
他の会社で働くことも許可されているが、「他の会社からの収入がメインになってはいけない」と定められている。
となると、パートタイムでしか働けない。
しかし、矛盾しているのは、就労ビザの取得には「フルタイムの雇用契約」しかできないんだ。
結果的に寿司シェフの面接機会がもらえても、パートタイム雇用契約を結んでもビザ更新できないし、フルタイムの雇用契約を結ぶと不法労働になってしまう。
という非常に難しい状況に陥ってしまう。
そして、寿司シェフの求人を含め、どの会社のどの求人もそうだが、基本すぐに来てすぐに働いてほしいわけよ。
採用してもすぐに来れない人は採用しない。待つにしてもせいぜい1~2週間とか。
で、フィンランドでフルタイムの雇用契約を移民局に提出することができても、就労ビザが下りるまで最短でも2~3ヶ月かかる。
どの会社も待てないよ。
2~3ヶ月待つより、求人を続けてすぐに働ける人を見つけるほうが早いから。
結果的に、私に残された道は三つのみ。どれも簡単ではない。
1.すぐにフルタイムで働く場合、就労ビザが下りるまでの2~3ヶ月の間に「業務委託」の形で自営業の私を雇ってもらう。その後雇用契約に切り替える。
2.パートタイムで働きながら、フルタイムの雇用契約も約束してもらう。であれば、今でもすぐに働き始めることができ、同時に就労ビザへの目的変更申請もできる。
3.博士課程に申し込む
今はとりあえず、1.と2.の可能性にかけ、仕事を全力で探している。