フィンランドと日本、台湾の語学教育に何が違う?
参考として、筆者の台湾で英語の勉強経験(日本の状況に近いと思いますが)とフィンランドでフィンランド語の勉強経験を簡潔にお話します。
台湾では中高生の英語の勉強成果が「試験での点数」で評価されます。
スピーキングテストもリスニングテストも一切なかった。
(筆者20年前の経験に基づく。ちなみに、筆者の人生で初めてのスピーキングテストが行われたのがなんと「33歳」!IELTSという試験だった)
学校での主要なテストの形式は「正しい単語で穴埋める」、「正しい文法を選択する」、「この文を英訳若しくは中訳する」などだった。
テストの頻度は毎週。大きい中間テストは年に4回。期末テストは年に2回。
このような勉強を6年間やって大学に入るタイミングに英会話教室行くと、「まったく英語が話せない」ことに気付いた。(まあ、そもそも英語が話せないから英会話教室に行ったわけだけど)
フィンランドの語学教育は非常に対照的だった。
筆者はフィンランド語の授業を10単位取った(週に6時間で合計7ヶ月間)経験は、「試験は期末試験しかない」、「期末試験はスピーキング、リスニング、ライティング、リーディングをそれぞれ行う」、「授業には実用練習を中心に進める。文法と単語も教えるが、あくまでも実用練習での理解を深めるために行う」。
筆者の母国語は中国語であるが、英語、日本語の外国語学習経験から言うと、どの外国語の勉強も決して楽な道ではない。ゼロから日常会話までは最短で2年(毎日8時間の勉強ならば半年か1年も可能だが)、長くて5年とか。
単語や文法の暗記は楽しいと思ったことが一度もない。暗記と練習を2年間もひたすら続くなんでただの苦痛極まる日々だ。
それだけではなく、毎週に試験を行うとか、ただでさえ自国で使うチャンスの少ない外国語で勉強を続けるモチベーションを上げるところか、あきらめたい気持ちが毎日強まる一方でしょう。
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フィンランド流の言語教育は違う。
「使う、使わせる」が中心。しかも最初から。
文法も単語も一回では覚えられないし、家で暗記するとつまらないから授業中で練習する。
音楽、ゲーム、ビデオ、グループ会話などに通じて。
もちろん、家での練習も勉強も必要だが、週に3時間程度だ。
教育の方法と評価の仕方からはっきりわかるのだ。
フィンランド流の言語教育が目指すのは「少しでも話せるように」、「少しでも使えるように」、「少しでもつまらなくならないように」だ。
結果的に「外国語を少しでも話せる人が増える」、「外国語をあきらめる人が少しでも減る」効果につながる。
評価は6段階評価。0点は不合格。1~5点は合格。5は最高レベルといった感じ。成績は不公開で順位もない。
テストは「文法や単語の正しさ」ではなく、「コミュニケーションがどのくらいできるか」で評価される。
「少しでもその言語で伝えることができれば。伝えたことが理解されれば」で評価される。
このような評価方法に必要なのは教員の主観的な評価。
教員による評価に「公平性と客観性」を求めてはいけない。
しかし、社会が人を評価する仕組みが「個人競争」であれば、公平性と客観性が重要となり、能力に対して教員による主観的な評価は受け入れられない。
結果的に客観的な「点数」(単一正解のある質問による)という基準が能力より重視されることになる。
このような違いによってTOEFL試験の成績に差が出たのではないでしょうか?
外国語教育はわかりやすい一例にすぎませんが、その国の教育全体を覗くには非常に良い角度をもたらしてくれると思います。
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